精神科心療内科メンタルクリニックショートケアの間取りプラン設計図

愛知県名古屋市北区の「平安通クリニック」様の間取りプランは、精神科心療内科の診療部門とショートケア部門に分かれて構成されました。

出入口玄関

開院する場所は、複合ビルの4階で、地上からエレベーターで上がり、エレベーターホールに降りて、賃貸部分の出入り口にアプローチします。

既存の出入口扉があって、自動のガラス引き戸になっていました。

下足のまま入室する方法にされて、床の段差なくスムーズに出入り出来ます。

心療内科医院間取りプラン平面図

受付カウンター

入り口を入るとすぐに受付カウンターになります。受付カウンターを左に入ると心療内科の診察室部門、右に向かうとショートケア部門になります。その動線をスムーズにするために、受付カウンターは待合室に向かって円弧を描くようにUの字型になりました。

普段は2人~3人のスタッフさんがこちらで対応できる広さになっています。

心療内科医院受付カウンター待合室

受付カウンターの背面には壁面が扉付きの収納になっていて、さらに奥には事務スペースが確保されています。

受付カウンターの正面には、しっかりとした幕を立ててその間に透明のアクリル板を設置して、飛沫ウィルス感染防止対策が取られました。

待合室

待合室は大きな開口窓がある日中明るい場所に、1人掛けの椅子を並べても窮屈にならず、カウンターの周囲を歩く患者さんが気にならないように広さを確保し、来院される患者さんがリラックスして診療を待てるように計画しました。

待合室の椅子

待合室の椅子は患者さんと患者さんのプライベートをしっかりと確保するためにも、ベンチ式の椅子に間隔をあけて座っていただくよりも、1人掛けの椅子の間隔を空けて各座っていただいた方が、確かなソーシャルディスタンスも確保出来て、座れる人数も多くなるためお勧めしていますが、今回は石井先生のご希望で建築家 吉村順三氏が設計した「たためる椅子」を計画当初より導入されることとされました。

心療内科精神科医院診療所クリニック待合室受付

「たためる椅子」は1人掛けの椅子でゆったりと座ることができます。また今回のインテリアの素材や色調はこの「たためる椅子」 を基調としてまとめられることになりました。

 →関連記事「医院待合室の個別「たためる椅子」に合わせた内装インテリアデザイン設計図」

医院クリニック内装インテリアデザインパース
設計中に作成した内装インテリア完成予想図(パース)

診察室

心療内科の診察室は2部屋設けられました。対面式のテーブルの寸法を大きくして、圧迫感のない診察室を目指されました。

外壁に換気が出来る開口窓があるところを選び、強制的に排気換気が出来るようにしました。通常は天井に1カ所つける換気扇を2カ所にして、強力に換気ができるようにし、さらに外気を取り入れる区分けをして、隣の部屋の空気が入ってこないようにして、給気と排気が各室 独立してできるようにしてあります。

心療内科精神科診察室

診察室の防音

患者さんと医師先生の会話、すなわち診察の声が隣の部屋や待合室に聞こえないように、また隣の部屋や待合室の音が診察室の中で聞こえないように、診察室の壁と扉の防音遮音性能を高めました。

 →関連記事「精神心療内科クリニック診察室の防音遮音壁扉内装工事の設計図」

リモート相談ブース

心療内科の診察について医師先生は今後リモートによる診療相談が通常になることを予想されて、院内の医師先生やスタッフが個室で端末に端末を利用してリモート相談をする部屋=相談ブースを設けました。

心療内科医院間取りプラン平面図

処置室

診察室の隣にベッドとシンク作業台がある処置室が設けられました。

ベッドは壁面に折りたたみ収納式で、ベッドの手前にはカーテンが設置されました。

患者様用トイレ

患者様用のトイレは通路に面して女性用と男性用が分けられて、大便器と手洗い器と手摺りが設けられました。

トイレの壁面の一部には待合室の「たためる椅子」の座の色が貼られました。

手洗い台

通路に面していつでも患者さんが手洗いができる手洗い台が設置されました。

来院された時、診療が始まる時、診療が終わった時に利用しやすいように診察室に近い通路に面して設けられました。

エスケープドア

診察室や受付カウンターは2方向に石先生やスタッフのみなさんが通えるように扉が2つずつ設けられています。

ショートケア入口

受付カウンターで分かれた動線通路を進むとショートケアの入り口にたどり着きます。ショートケアの周囲には水回り設備が多く、その排水管の配管を床上で撮取り回すためにショートケアの床はかさ上げされました。

そのためにショートケアと入り口手前の通路で床がスロープ状になって上がります。

ショートケアの出入り口は新たに設置された児童ガラス引き戸が設置されました。

ショートケア

少人数のセミナーや複数集まってお話しをする教室のための場所として設けられました。

ショートケアの部屋に面してキッチン、スタッフルーム、避難階段に面しています。

ショートケアの奥の壁にはホワイトボードと映写スクリーンが設けられています。

医院ショートケアセミナー室

複数の人が介在して利用される部屋のため、可能な限り吸音性能がある仕上げ材が、天井と壁に施されました。

キッチン台

ショートケアに面するキッチン内はニの字のペニンシュラ型で作られました。

ショートケアに面しては、引き戸を解放するとオープンキッチンになれるように出来ています。

スタッフルーム

スタッフの皆さんが洋服を着替えたり休憩するスタッフルームは、委員の出入り口からすると1番奥の場所になり、診療部門とショートケア部門バックヤードでつなげるような位置に計画されました。

スタッフルームの入り口には手洗い台が設けられて、スタッフのみなさんがいつでも手洗いうがいができるようになっています。

スタッフ用トイレ

スタッフの皆さんが利用するトイレは患者さん用のトイレとは別に、スタッフルームの中に面して設けられました。

スタッフの皆さんが用を足している事は患者さんに見られないようにされました。

その他の各部分の工夫

間取りプランとは別に各部に医師わ先生のご要望から様々な工夫が施されました。

待合室の椅子を基調にしたインテリアデザイン

間取りプランが定まった頃、インテリアの雰囲気について相談が始まりました。その際に待合室の椅子について医師先生から1人掛けの「たためる椅子」を購入されるお話をいただきました。

「たためる椅子」は建築家吉村順三氏が設計された家具で、木のフレームと特別な布で覆われた座と背になっています。

そこで医院のインテリアデザインのアクセントを、この椅子の木の材料の色に合わせることにしました。

内装デザインはシンプルな背景と捉えて無着色としながらも、患者さんが触れたり利用したりする部分については、患者さんの行き先を容易にわかりやすくしたり、汚れにくくするために木目の色を同じにした材料を使用しました。

患者さんへの誘導する木目板や扉

患者さんが出入りする診察室の扉やトイレの扉を待合室の椅子のフレームの木目の色と同じにしました。

患者さんに対してスタッフのみなさんが行き先を案内する際、木目の扉を目指して欲しいと説明できるようにしたのです。真っ白な壁の中に異なる木目の扉があれば一目瞭然で迷う事はありません。

待合室の間接照明と床のカーペットで落ち着いた雰囲気

待合室のインテリアデザインのアイテムとして、間接照明を施し、通路への誘導と柔らかな照明により、暖かみのある雰囲気を加えました。

また床は、待合室で出た音を吸収して落ち着いた雰囲気にするために毛の長いカーペットを敷きました。医師先生が選ばれたカーペットは濃い茶色の素材でしたので、より落ち着いた雰囲気になられたと思います。

水廻り設備と排水管とパイプシャフト

賃貸物件におけるテナント内装工事で、手洗い台やトイレ、キッチンや洗濯機はどこにでも設置できるわけではありません。水を出す給水管は比較的どちらにも配管は可能ですが、利用した水を捨てる排水管は下部へ直に落とすことは出来ないで、その賃貸部分にある排水本管に床上で連結させなければなりません。水は重力に従って最小限の勾配が取れた排水管に沿って流れるため、排水管を設置する場所を確保しなければなりません。

床全体をかさ上げして床下に排水管を設置する場合は水回り設備の設置場所に制限はありませんが、今回は当初床を上げない制限は方針でしたので、手洗い台やトイレは排水管の切り回しが出来る設置できる場所に計画されました。

心療内科医院設備排水管間取りプラン平面図

汚れが取れやすい手洗い洗面台

通路の面して設置されたいつでも使える手洗い台洗面台は、

  • 汚れないもの
  • 掃除しやすいもの

が求められました。

汚れにくい工夫としては、

  • 水分をはじく材料を使う(磁器、石、メラミン、ガラス)
  • 水栓を洗面ボウルの中に設ける

スペースの広さは幅も奥行きも小さかったので、TOTOの人造大理石製の洗面台ボウル一体型の洗面台が採用されました。洗面ボウルと洗面台の際に段差がなく、ここに汚れが発生しません。水栓がボウルの中にあると同じなので、また奥部壁面際に一体の立ち上がりがあり、飛んだ水しぶきが洗面台の中だけで収まり、拭くだけで水分を除去できます。

外壁断熱材

工事着手前のスケルトンの状態では、既存建物の外壁面の内側には断熱材は設置されていませんでした。建物の外壁はコンクリート打放しで、直接日射しを浴びたコンクリート構造体は、とても熱くなり簡単には冷えないと思われました。

そこで、外壁面の内壁には断熱材を施すことを提案し、医師先生のご了承をいただきました。

ただし施工期間と専有面積の縮小は最小にしなければならないので、内壁に仕上げ材の下地として貼る板=石膏ボードに断熱材が製品として貼り付けてある材料:ネオマ断熱ボード を採用し設置していただきました。

エアコンの位置と排水経路

間仕切壁で各室に分かれている諸室には、各室に空調エアコンが設置されました。各室が防音遮音壁で間仕切られているので、

  • 各室で温度調節が必要になる
  • 大きな開口を開けて空気をやりとりさせるには話し声が筒抜けになる
  • エアコンひとつでまかなうと、エアコンが故障した際、休院しなければならなくなる(個別であれば個別修理交換で済む)

という理由からです。

ただし各室に個別空調エアコンを設置するのは、冷媒管と機器から出る排水処理が必要で、設計の当初からよく検討しておかないと、設置できなかったり、露出配管ということにもなりかねません。

外壁窓のロールスクリーン

外壁面の窓は透明なガラスで直接日射が随時室内に入ってきます。この日射は診療中やセミナー中にはかなり厳しい光りになるのでロールスクリーンで遮光することになりました。

完全な遮光スクリーンではなく、多少の光を取り込むスクリーンを選んだ結果、日射はスクリーンで拡散されて内部をよりまんべんなく明るくすることになりました。

西日遮光縦型ブラインド

待合室が面している外壁の大きなガラス窓は西向きの窓で午後は西日が差してきてとてもロールスクリーンでは遮光ができないと予想されました。そこでこの窓には縦型の遮光ブラインドを設けて、西日避けとすることにしました。

縦型のブラインドは直射日光を避けながら、他の方向には視線が開けられることができるので、随時の調節は必要ですが大きな窓の日射の調節には便利に使うことができます。

ショートケアの壁の吸音壁紙

ショートケアはセミナーや教室などの使い方で、奥から皆に聞こえる声でお話しをする場合や複数の人たちが会話を交わす場所となるので、特別な措置をしないまでも可能な限り吸音性能を持った内装材が求められました。

天井にはジプトーンという吸音天井板製品が貼られ、壁にはビニールクロスの中でも吸音性能を有するビニールクロスが貼られました。

院内のウイルス感染拡大防止対策

今回の開院計画は、設計が新型コロナ感染が拡大している渦中に行われ、ウイルス感染拡大防止の対策が施されました。

自動扉

来院される患者様には可能な限り接触が避けられるようにと、出入り口扉とショートケアの出入り口扉は自動扉が採用されました。開閉の際、押しボタンを長中ではなりませんが、その他の部分には接触せず、押しボタンに対して清掃消毒を行えるので安心をいただけると思われました。

手洗い台

受付カウンターを出発点として幅の広い通路が診察室部門及びショートケア部門まで続いています。この通路に面して、誰でもいつでも使える手洗い洗面台が設けられました。

スタッフルームの中にも手洗い台が設けられ、スタッフの皆さんも十分に手洗いができるようになっています。

手洗台洗面台カウンター

各トイレの中にも手洗い台は手洗い器が設けられました。

飛沫感染防止スクリーン

受付カウンターにおける患者さんとスタッフさんのやり取りの中で、飛沫感染を防止するために仮設的なスクリーンではなく、本設の飛沫感染防止スクリーンが設けられました。

スクリーン自体は透明のアクリル板で取り外しができるようになっています。取り外しができるのは毎日洗浄消毒ができるためです。そのためにスタッフの皆さんでも取り外しができる仕組みにしました。

書類をやり取りするカウンター板の上は高さ10センチのみ開放されて、天井から下は大きく開放されています。

医院受付カウンター飛沫感染防止スクリーン

換気窓と換気扇

利用頻度が高い部屋は窓を開けて強制的に内部の空気を喚起できるように、窓がある部屋に間取りプランで設置されました。

角質機械換気扇が設けられていて、特に診察室部門は必要な換気扇の数に対して倍の数の換気扇が設置されています。

さらに内部空気を排気するには、外部もしくは隣の部屋の空気を取り込まなければなりませんが、外部空気を直接取り入れることにして、隣の部屋の空気を取り入れないように、診察室諸室、ショートケア諸室、待合室受付部門とに、換気区画を区分けしました。

心療内科医院間取りプラン平面図

リモート相談ブース

医師先生はコロナの影響を鑑みて、今後は患者さんが実際に医院に来院せずに、リモートで診療相談をされることが通常になると想定されて、医師先生やスタッフさんがリモートで相談できる個室=相談ブースを設けることにされました。

待合室の個別椅子

診療をお待ちいただく患者さんは待合室で他の患者さんと距離を確保して座っていただくために、個別の椅子にされました。感染症の状況により、個別椅子の椅子の間隔を自由に開けて設置することができて、患者さんにもご安心をいただけると考えます。

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