住宅附置義務条例
平成10年に完成した東京都文京区の建物は、全体が賃貸用事務所オフィスです。当時の東京都条例「附置住宅制度」により、一部を住宅として計画・整備しなければなりませんでした。
完成時は、事務所+共同住宅 の用途として完成し、利用が始められました。
条例改正・附置義務の消失
その後 平成30年に条例の改正があり、「附置住宅」の設置義務が消失しました。
建物所有者様としては、建物のある地域の傾向として、住宅よりも事務所オフィスへの賃貸需要が多いので、住宅→事務所オフィスとして賃貸をする方針とされました。
事務所への用途変更ー賃貸業務上の建物用途の明確化
建物所有者様は東京都条例によって住宅であった部分を用途変更して事務所オフィスにして、賃貸をされる方針にされましたが、事務所オフィスへの建築基準法上の用途変更確認申請手続きは不要不用で、役所にこの用途変更の手続き図書を提出しても、受付 審査をしてくださいません。
しかしながら 賃貸業契約の際に、書面で当該部分が修正されずに「共同住宅」の表記が残ると、借り主側から「事務所オフィス」として賃貸出来ない」とクレーム拒否が入ることがあって、法令は遵守しているのに賃貸業務に支障があった経験をお持ちでした。
用途変更確認申請の手続きが出来ないながら、事務所オフィスへの用途変更確認を行っている事実を、役所の書面と同等になる方策はないか?とのご相談をいただきました。
「検査済証」の無い建物の検証
用途変更確認申請を受け付けていただけないのに、実際には法令を遵守して内装を変更して用途変更を行う場合に、その状況を公の書面にして、お客様にお示ししたいというのが、建物所有者様のご意向です。
管轄区役所の建築指導課の勧めもあり、「検査済証の無い建物の評価」を行っている 建築確認検査機関に相談することにしました。
法令上 用途変更確認申請を受付ない
相談先は、ERI 建築確認検査機関のソリューション事業部という部で、用途変更確認申請を受け付けてくれない建築の部分を、法令に遵守して整備しているかどうかの見解を、第三者機関として示してくださる部門でした。
非特殊建築物の用途変更
そもそも建築基準法上、非特殊建築物への用途変更は、確認申請をする必要がありません。しかしこの法令の詳細を理解運営してくださる一般の方は稀です。賃貸契約の際、法令遵守の立場を専門知識を持たずに遵守しようとする余り、賃借する当該部分が建築基準法上の表記が 使用目的と異なる場合に、「表記が違う」ということだけで建物主が借主から不要な疑事を突き付けられた経験から、法令上の書面における用途の表記の整備を目指されたそうです。
改めて、以下の内容について法令上の知識としてお持ちいただくと、無意味な疑事はなくなります。
- 非特殊建築物への用途変更の場合は、確認申請手続は不要
- 用途変更部分が200m2未満の場合、用途変更確認申請手続は不要(ただし関係法令は免除規定なし:例えば 消防法、バリアーフリー法など)
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