仮設薬局建物を通常確認申請か許可申請か

調剤薬局店舗建物を建替える

神奈川県大磯町の東海道国道一号線沿いの薬局ことぶきや薬局様の建替えで、建替え中は仮の薬局店舗を建てて開局を継続されることになりました。

仮設建物でも確認申請

土地に定着する工作物(建物)は全て、建築基準法の規定に沿った建物を建てることを申請しなければなりません。

短期間利用する仮設建物でも同様で、利用される期間にかかわらず確認申請をしなければなりません。

住宅展示場や工事現場事務所も、裏庭のイナバ物置やコンテナ倉庫も、例外はありません。

仮設建物の種類

仮設薬局建物を設けるにあたり、どんな建物で建てるかを検討しました。

  • 木造
  • コンテナ
  • プレファブ

簡単でも必要金額を試算して、予算と建設時間の面からプレファブで建てることになりました。

許可申請か通常確認申請か

プレファブ建物にも種類がありました。同じ大きさでも会社により大きな金額の差がありました。当然安価なモノが選ばれます。

しかし構造的な強度は建築基準法に適合していても、安価なモノは窓や出入口のサッシの防火性能が不適合でした。適合するサッシに取り替えると非常に高額になってしまい、高額他社のプレファブの金額と同等になってしまうほどでした。

そこで確認申請より上位の許可申請を行って、建築基準法に合致しない部分の建物の安全性を関係役所に確かめてもらって、予算を抑えて建てる方法を模索しました。

構造性能

見積りを依頼した会社様が供給するプレファブ建物は、ほとんどが建築基準法に合致した構造計算がされて用意してあるモノでした。事前に問合せをすれば、計算の有無はわかります。

今回はまず構造計算がされたプレファブ建物が選別されました。

防火性能

敷地の中で隣地境界線から5メートルもしくは道路中心線から5メートルの範囲は(隣地に建物が有る無しにかかわらずです)、隣地の火災で火が延焼してきてしまうと想定している範囲で、その範囲に建物があるとき、建物の屋根や外壁は燃えないように防火性能が求められ、窓や扉の開口部も同様に火が燃え移らないモノにしなければなりません。

今回お見積もりを頂いたプレファブ建物では、窓や扉の防火性能が適合しているものは高額で、不適合なモノは安価でした。

許可申請を届け出て仮設建物を建てる

高額でも防火性能が適合しているプレファブ建物にするか、低額で防火性能が不適合な建物の安全性を認めてもらう許可申請を行って建てるかの判断をするために、許可申請を行う窓口に事前相談をして許可されるかどうかの確認をしました。

法にそぐわなくても、敷地周囲の状況確認と、安全な処置が施されていると判断出来れば許可される場合があります。

許可申請窓口(平塚市にある中郡担当の土木事務所)に、

  • 仮設薬局店舗を建てる理由
  • 仮設薬局店舗がある期間
  • 建築基準法に不適合な部分
  • 敷地周辺状況

を説明しました。

相談して検討してくださった結果、建築許可が下りる見通しが立ち、許可申請をすることに決めました。

もしこの見通しが立たない場合は、高額のプレファブ建物を選ばねばなりませんでした。

届け出を行わないデメリット

本来確認申請届出が要るものでも、届け出ていないものは散見されます。届出を行わないで開局しようとすると、様々なデメリットが生じます。

法令遵守の姿勢

そもそもの ことぶきや薬局様の基本姿勢は、薬局として、そして地域密着の健康相談所として、他の周囲の人々が法令に対してどんな対応をしていようと、ことぶきや様は法令を遵守する方針は当然のこととされていました。

このような姿勢から外れた方には、信用は寄せられないでしょう。信用を得るには常に揺るがない信念が必要で、それが崩れるには瞬く間であると思います。

保健所の許可とのリンク

薬局の開局には、保健所の許可が必要です。薬局の他にも保健所の許可の要る施設があります。

各市町村の役所の規定により異なりますが、保健所の許可を届け出る場合、建築確認が済んでいることの提示を求められる場合があります。

つまり建物が合法になっていないと、保健所の許可が下りない場合がありますので、要注意です。

その他のデメリット建築確認が済まされていない場合のデメリットとして、最近は、

  • 銀行融資が受けられない
  • 火災保険が掛けられない

ということがあります。

「以前は建築確認がなくても許してくれた」という言い訳は通じない状況になっているので、要注意です。

許可申請の手順

許可申請は申請すれば必ず下りるものではありません。また申請手順も定型がなく、物件ごとに違います。

事前相談

建築基準法にそぐわない建物を、果たして役所が最終的に認めてくれるかどうかの「あたり」を付けねばなりません。全く許可されないものを、申請しても意味がありません。

そこで「事前相談」という形で、役所窓口に内容を説明して「許可が下りるかどうか」を検討してもらいます。

建物の必要性

永年薬局を開局してきて、地域住民皆様の健康医療を維持する役割りを担われて来たことからも、これからも不断に永続的に開局していく必要があることを説明しました。

法にそぐわない部分の確認

本体建物を建替え中に、仮設薬局店舗を設けて継続して開局するときに、1年弱の建物なので費用は抑えないと実現出来ません。建物を費用で選ぶと、建築基準法の防火性能にそぐわない部分がありました。外壁に設ける開口部窓に防火性能がないことを説明しました。

許可できる状況と対処

建てたい仮設建物の外壁は隣地境界線に近い場所にあり「延焼の恐れのある部分」でした。

隣地の状況としては、建物が近くにある側、建物があるが離れている側、畑が広がっている側、となっていました。

建物が近くにある側には開口部を設けず、開口部は建物が離れている側と畑がある側に限ることにしました。

火気を使わない

建物内部(敷地内)では禁煙、そして一切火器を使用しないこととし、火災発生の可能性をなくしました。

仮設許可の条件

建築基準法に沿わない仮設建物を建てる条件を定めて、仮設薬局店舗を設ける許可の目処が立ちました。

  • 建設年限を一年間以下とする
  • 内部で火気を使用しない(禁煙、コンロを使わない)
  • 外壁には隣地に建物がある側に窓を設けない

建物完成し、検査を受けて合格になりました。

ちなみに・・・薬局が建てられない第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域では、薬局は原則建てられません。薬局は建築基準法上 物販店舗と種別されていて、二階建てまでしか認められていない閑静な住宅街では建てられません。

ただし薬局併用住宅で、薬局部分の面積が50m2以下であれば可能です。または既存薬局の建替えで薬局の役割の継続であったり、地域住民の方々の強い要望があるなどして必要性が認められるときは、許可申請が下りる場合があります。

第一種低層住居専用地域とは、都市計画法上の「用途地域」の区分のひとつで、閑静な住宅地を形成するための地域です。

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