家住宅建物の相談依頼は設計施工一括発注と分離どちら?

お客様からは、「家づくりで ハウスメーカー様 と 設計事務所は 何が違うのか?」と、良くご質問をいただきます。

家づくりには設計と工事の一括方式と分離方式がある

建物を建てるには複数の役割担当が集まって成り立ちます。それには、

  • 設計者(建主様の建物の形を定めて設計図を作図する)
  • 工事 (施工) 者(設計図に基づいて建物を組み立てる)

最低限 上記2人の役割が必要です。

この設計者と工事者が同じ会社の人物なのが ハウスメーカー様=設計施工 〈一括〉 方式で、設計者と工事者が別の会社であるのが 設計事務所+工務店=設計施工 〈分離〉 方式です。

この、設計と工事を、〈一括〉 にするか、〈分離〉 するか によって、建物の内容が大きく変わって来る仕組みを理解していただきたいと思います。

設計施工 〈一括〉 方式について

先ずハウスメーカー様や設計施工一括方式の会社様の考え方として、世の中ほとんどの製品をメーカーが設計して製造しているのに、なぜ家や建物だけ設計施工一括方式でいけないのかという素朴な疑問があります。たしかにテレビ、カメラ、時計、コンピュータから自動車などの大きなものまで、メーカーによる設計から製造までのトータルな結果を商品として購入するのが一般的です。

設計施工一括方式のメリットとデメリット

住宅や建物でも設計と施工を同じ会社が連続して行うことにより、設計者と工事担当者が責任のなすり合いをして発注者であるお客様が困る心配がないとか、完全に設計が完了していなくても工事が始められて工期を短縮できるとか、建設費融資の斡旋からテナントの誘致まで面倒を見るとか、様々なメリットが強調されます。中には設計料が無料になるという詐欺まがいの営業もあるようです。

設計という業務は人が行なう仕事ですから、その人件費が無料になるはずが無いことは少し考えれば理解していただけるでしょう。見積書に計上されない設計料は他の費用に隠され紛れ込まされているだけですが、理解して下さらない方も少なからずいます。

家や建物の特殊性

その他のメリットは確かにあるかも知れませんが、ものごとは良いことばかりではありません。

実は住宅や建物の設計施工一括方式には大きな落とし穴があります。

それは住宅や建物が自分の敷地に建てられる大きな構築物であるという特殊性です。一般の工業製品であれば、目で見て、そして手に取ってみて気に入らなかったら買わなければ済みます。船のように大きなものでも土地に固定されていないので、契約条件に合致しなければ引き取りは拒否できます。

しかし契約に違反した建物の引き取りを拒否しても、自分の敷地に建ってしまっている特殊性があります。契約条件に合っていない建物なので「お金は払わない、解体して更地に戻してください!」と言っても工事会社はそう簡単に引き下がることはないでしょう。賠償金を貰っても手直しを行なっても、完全に満足できることは先ず無いと考えられます。一部上場の有名な大会社なら、滅多なことはないだろうと、頭から信用するのも危険です。

建築工事は往々にして別の会社に丸投げされることがあります。ひどい時には丸投げをされた業者が、さらに丸投げする場合があります。こういう丸投げの実態に気が付かず、契約を結んだ会社が工事をしているとばかり思っていたのに、実は契約した会社の人は最初に一度顔を出しただけで遂に最後まで現場に来なかった・・・という例は多々あります。

このような丸投げの他に、工場生産と違って、建築工事を行う現場へ沢山の職人が集まって来るという造り方をする結果、様々な下請け会社が次々に入れ替わって工事を進めるという方式を採らざるを得ません。それらを一貫して全体の調和を取りながらコントロールして行くのは容易なことではありません。

工事会社の過剰な利益=お客様の損

また、工事会社が過剰な利益を得ているということは、お客様はその分だけ損をしていることになります。企業である以上、利益の追求は必要ですが、過剰な利益を出されては、どんなに寛容なお客様でも良い顔は出来ないでしょう。

 ▷関連解説記事 →「建築家が設計した家がハウスメーカーより安い理由」

設計施工 〈分離〉 方式について

設計事務所(建築家)は建築主であるお客様と契約し、お客様のために建物の設計と工事中の品質監理を行います。当然、報酬はお客様から頂くので、建築家はお客様に対して誠実であり忠実でなければなりません。工事会社とのつながりがないので、客観的に工事内容の良否をお客様の立場に立って指摘できます。

建築家は契約に従ってお客様の求める設計を終えたら、引き続き工事の品質監理を行ないます。建築家が工事中の品質監理ですべきことは、僅かに建築士法で建築士の業務として次のように定められています。「【建築士法】第18条3項-建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実行されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」とされています。

設計施工一括方式において、自社の不都合を、建築主にわざわざ報告に行くことは有り得ないことです。

お客様の財産を守る設計事務所の役割

工事中、建物の品質監理をする者が設計事務所として工事会社から独立していれば、お客様の立場に立ってお客様の利益を守れることになります。他方、工事の品質監理をする者が工事会社の社員であれば会社の利益を守る義務があり、お客様の利益よりも優先されます。そのときお客様の利益と会社の利益が衝突し、工事会社の社員は悩まずに会社の利益を選ぶでしょう。

そこで設計施工に何の疑問もなく信頼出来る方は、設計施工一括の方式で家を購入されれば宜しいと思います。逆に「手抜き工事をして欲しくない」「明朗会計が良い」お客様は、工事会社からお客様の利益を守る第三者として、建築家という役割に任せた方が良いでしょう。

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