ゲリラ豪雨や台風大雨洪水の家住まいの雨水防水対策

観測記録を超える気象の変化

最近の日本の気象状況は異常と呼ばれるくらいこれまでの気象観測記録の平均からすると変わった現象が多く、今までの記録を超える降雨量だったり、降雨の時間が短期間に集中する豪雨だったり、建物や住まいが降雨や浸水に耐えられる限界もこれまでのものでは防ぎ切れないこともあるようです。

激しい降雨の量によって、建物の雨水による故障や災害におよぶ箇所や場所が異なります。個人的な対処から地域による対処も必要になります。

台風やゲリラ的集中豪雨で多量の降水量

降水量が同じでも(例えば50ミリの降水量でも)1日かけて降った50ミリの雨水と、60分間で降った50ミリの雨水とでは、雨水の排水処理される状況が違ってきます。建築物の雨水排水処理能力は、60分当たり約40ミリ前後の降水量の場合に問題なく排水処理出来る能力が過去の前提でした。

しかしここ数年でこの数値を超えるゲリラ豪雨と呼ばれる気象状況が日本中で起こっていて、その対応能力の見直しが必要と思われます。

勾配屋根から雨漏り

建築物の屋根は、斜めに傾斜している「勾配屋根」と、地面に水平な「陸屋根」に分類されます。

「勾配屋根」には瓦やスレート板という水を通さない板材料を鱗状に貼ったり、金属の薄い板を防錆塗料を塗って並べて葺かれています。(屋根を板状の材料で覆うことを葺く(ふく)と言います)

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屋根の葺き材が割れていたり、飛ばされて無かったり、穴が空いていると、雨水が進入してきます。同じ材料で壊れている部分を補修したり、穴を塞がねばなりません。

「勾配屋根」は、屋根に落ちた雨水が下方に自然流下しますが、勾配が緩やかな屋根に雨水の自然流下による処理量を超える大量の雨が降ったときや、強風による雨水の吹き上げで、屋根の葺き材と材の間から雨水がしみ込んでしまう場合があります。屋根はその雨水進入を防ぐために傾斜勾配の角度に相応しい材料で葺く必要があります。瓦やスレート板などの鱗状の屋根葺き材は、3/10~4/10以上の勾配の角度が必要とされています。

なお、完成してから久しい住宅で、屋根の材料を再塗装する方がいますが、不必要なときもあります。確かな診断の上で、雨水対策の改修工事をすることをお勧めします。

陸屋根の排水口に雨が流れない

屋根が地面に水平な「陸屋根」は、アスファルト・金属板・FRP・シート・塗装などの防水材料で屋根全面をほぼ水平に覆う状態で防水をするものです。(雨水を集める緩やかな勾配は付いている)。周囲の数か所に排水口を取付けて雨水を下方に排水します。

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防水材料が時間の経過によって劣化したり、ひび割れしたり穴が開いて雨水が漏れるときは、漏水する場所を塞ぐか防水材料を取り替えます。雨水が漏れる場所を探し当てることが困難な場合もあり、改修工事が大規模になる場合もあります。

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また雨水が下方に流れるための排水口に落ち葉や砂埃が集まって雨水が処理されずに雨水が溜まり、プールのようになってしまうこともあります。屋根に登ることが少ないので起こる事です。屋根の点検を定期的に行い、排水口に落ち葉除けを設けることで防止策としています。万が一排水口が詰まって雨水が溜まっても、一杯に溜まる前に雨水を他に流すオーバーフロー管を取付けて、屋根一杯に雨水が溜まって溢れ、水が室内に進入することを防ぎます。

外壁から浸入する

外壁の材料や仕上材がヒビ割れしていたり、窓サッシ四周の伸縮ゴムシールが硬化して割れていると、割れ目から雨水がしみ込んで内部に浸入することがあります。この浸入水も原因箇所の確定が難しい場合があります。浸入部分は一か所でも、外壁の材料は劣化していることが多いので、仕上げ材の取り替えや目地伸縮ゴムシールのやりかえが必要になります。

※2019年の台風15号や19号では、屋根や外壁に損傷や穴は無いけれども、屋内に雨水が進入して来てしまった建物が多数ありました。吹き上げる風が強かったために、建物の機能して必要に開いている下向きの孔や開口から雨水が吹き上がって来た被害も多く見られました。

洪水や浸水で家が囲まれる

屋根や外壁の雨水は防げても、地域に短時間に降った多量の雨水が排水処理できずに溢れて、地面を流れて敷地に流れ込む浸水は非常に危険です。普段は排水の側溝や桝などを巡らして雨水を集め、道路に埋設されている公共排水管に接続して排水するのですが、公共の排水管も集中して降った雨水を排水処理出来なくなると事故災害が起こります。(ニュース映像で、マンホールから水が噴き出しているものなどがその現象です)

敷地や建物まで雨水が入り込む

普段 降った雨水は、道路下部に埋設された雨水排水管に集められて排水処理されます。短時間に集中した豪雨で排水処理能力を超えると、雨水は地面に溢れます。その量があまりに多量だと低い場所に向かってなだれこみ浸水となって敷地に流れ込みます。さらに建物の下部に入り込み、「床下浸水」「床上浸水」となります。建物の形を変えられるなら、基礎の高さを高くして床を地表面から高く離します。

建替えを行えるのは困難なので、敷地周囲を壁や堰などで囲い、普段通行出入りする部分は地表面と同じ高さなので「防潮堤(板)」を設けて、雨水の浸入を防ぎます。

さらに例え雨水が浸入しても、水を掻き出せるように、排水ポンプ設備を整備することも出来ます。小型の発電機も備えておけば多重の備えになります。

地下階や地面より低い床に浸水する

地下室や部屋の床が地表面から下にあったり、敷地が周囲の土地より低い場合は、浸水で人命を落とす可能性があるので注意が必要です。浸水が考えられる開口部には頑丈なフタや、外部の状況が目視できることも必要で、水圧の恐ろしさへの理解と、危険が少しでも見えた場合の一目散の避難が必要です。

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庭に水たまりがすぐできる

降った雨が地表面に溜まり中々無くならない地面には、排水側溝を設けて雨水を集めて排水したり、地中に浸透式排水管を埋設して、地面の雨水を処理します。

また地表の舗装を地中に透水ができるものにして、地中に雨水をしみ込ませたり、建物が大規模のときは地下にピットを設けて一時的な雨水集水場所にして、公共排水管だけに排水せず、各々の敷地の地面や施設の中に雨水を逃がすことで、集中豪雨による洪水対策として地域として取組んでいる行政地域もあります。

大量豪雨でがけ崩れになる

降雨の時間の長短に関係なく、雨水は地中にしみ込みます。いつもは動かない固められた地面も、しみ込んだ水が地面を柔らかくして、重みによって流れ出ます。

昔からある古い石垣

コンクリートで造られた擁壁(ようへき)や擁壁用コンクリートブロックが積まれたガケではなく、昔からある古い石垣で積まれたガケ(特に水抜き穴がないもの)は要注意です。直ぐにでも新たに土留め擁壁を造り替える必要があります。

擁壁から水がしみ出る

崖や擁壁に水抜き穴がなく、雨の日には崖や擁壁から雨水がしみ出している場合は、直ぐに水抜き穴を取り付けたり、擁壁を造り替えたりして、安全を確保してください。土にしみ込んだ水が土をペースト状にして、崖や擁壁に力を加えて崩れようとしている場合があります。

雨水が起こす危険と対策を網羅的に記しましたが、少しでも心配があるときは専門家に診てもらって、直ぐの対処を行うことをお勧めします。

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