RCコンクリート躯体構造の表面打ち増しフカシ寸法

「大学キャンパス内のスポーツ棟」は、今回の計画が始まる約15年前に建てられた「プールと体育館の建物」が、大学キャンパスの新たな整備計画によって建て替えられることで始まった計画です。敷地キャンパス内にさらに沢山の学生さん達が集まれる施設(教室棟とスポーツ棟)を整備建て替えするためです。

以前からあったプールと体育館はその場所と形を変えて、同じキャンパス内に建て替えられることになりました。

こちらの建築計画の設計・監理は「古橋建築事務所」様が行い、北島建築設計事務所はプールと体育館が合わせ建つ「スポーツ棟」を担当させていただくことになりました。

「スポーツ棟」の構成は、地下にプール、地上に体育館が配置され、地下プールは鉄筋コンクリート造、地上体育館は鉄骨造の設計です。

コンクリート造の品質監理

「コンクリート造」が発明されて100年以上が経ち、さらに「コンクリート打放し仕上げ」が流行して約30年以上が経つ建築界では、コンクリートを造る際に打設する技術水準は非常に高くなりました。鉄筋の組み立て、型枠の成形、コンクリート打設練度 は飛躍的に向上しています。現場コンクリートの組み立ての精度を心配するがための安全率確保の余計な打ち増しは不要となりつつあり、今では、コンクリートの経年的な化学的劣化を見越した安全率確保の設計・施工が求められるようになりました。

それはすなわち、コンクリートの中性化(アルカリ性から酸性へ進む経年変化)によるコンクリートの強度維持を目指す方策で、単純にコンクリートの表面の厚みを多少余計に「打ち増し・フカス」を行うことで解決しようとしているものです。

打ち増し・フカシ とは

鉄筋コンクリート構造は、圧縮の力に耐えられる「コンクリート」と、引っ張りの力に強い「鉄筋」の、双方の良い点が合わさって強い構造体になっている仕組みです。

「コンクリート」は造られて直ぐのときは「アルカリ性」が強く、その中に差し込まれている「鉄筋」は「アルカリ性」に包まれているために酸性化しないで錆びない環境にあります。「鉄筋」は酸性化すると錆び始めてしまい、その力が損なわれてしまいます。「コンクリート」の中にある「鉄筋」が錆びると膨張して、「コンクリート」を割ってしまいます。

「コンクリート」が永く「アルカリ性」を保ち、挿入されている「鉄筋」を酸性化させずに錆させないために、「鉄筋」を保護する意味でも「鉄筋」は「コンクリート」の中 深くに挿入されています。

一般的なコンクリート部位で、鉄筋がコンクリートの表面から内部に「いくら深く挿入されているか」の長さ(コンクリート表面から鉄筋の表面までの長さ)を鉄筋の「かぶり厚さ」と呼んでいますが、この長さは3センチ以上とされています。アルカリ性のコンクリートが永い時間を掛けて中性化する場合に、鉄筋が酸性化しないようにするために定められた長さ寸法です。

ただし、この「かぶり厚さ」をさらに長く(深く)する場合があります。「かぶり厚さ」をさらに長く(深く)することを「コンクリートを打ち増す・フカす」と呼んでいます。それは、

  • コンクリートが風雨に晒される外部(もしくは水中)等にある場合
  • コンクリートが内部でも直接表面に晒される場合

です。

法令には定めがない

この「フカシ」寸法に対しては法令等における定めや指定はありません。所謂 工事施工上の安全率を高めるために、「かぶり厚さ 30ミリ」に加えて、10~20ミリの「フカシ」コンクリートを打設します。

工事上実際は、鉄筋の外形の外側に、さらに隙間ができるので、骨材(石ころ)が混ざっているコンクリートを型枠に流し込むとき(コンクリート打設時)、コンクリートの廻りが向上し(骨材が型枠と鉄筋の間に挟まってしまって、コンクリートが上手く下方に流れて行かないことにならなくなる)、蜜実なコンクリートが打設できる結果になります。

外壁20ミリ、内壁10ミリ

法令等で定めがない「フカシ」寸法は、今回の計画では、以下のように定められました。

  • 外壁面(地下を含む)は、20ミリ
  • 内壁のコンクリート打放し面は、10ミリ
  • 内部の別に仕上げ材で覆われる部材は、フカシ無し

と定められました。

内部のコンクリート打放し面をフカスのは、

  • 打放し仕上げ面の精度を上げるため
  • 打放し仕上げ面の中性化を妨げるため

です。

内部でも換気空調や人体の空気にさらされる面は、中性化の進行が多少早いとされているからです。

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