大磯の調剤薬局店舗内装設計図と駐車場看板サイン歩道切下げ

薬局店舗併用二世帯住宅の建替え

神奈川県の湘南大磯の東海道国道一号線沿いにある「ことぶきや薬局」様は、開局50年を超す老舗で、既存の建物の老朽化もあり二世帯住宅併用の薬局店舗を建て替えることになりました。

建物全体は設計施工一括の発注がなされ、薬局店舗の内装をはじめとする看板や外周の設計についてご相談をいただきました。

工事中の仮設店舗

まずはじめに、建物建替え中に薬局店舗の継続営業をするために、仮設建物を建てて仮設薬局店舗を開局することになりました。

隣地の来店する患者様用の借地に、プレファぶの建物を県知事許可を受けて建てて、建て替えられる既存建物が解体される前に開局しました。新しい薬局店舗が開局したら解体される前提です。

 →関連記事「調剤薬局の建替え工事中に仮設薬局店舗を建てる」

仮設建物も通常の確認申請が必要ですが、建物の装備が高額になってしまうために、耐震や防火の性能の安全性を確保した上で安価に建てるために、許可申請を行って特別に設けたものです。

間取りプラン

建替えられる調剤薬局店舗の間取りプランには、以下の部屋を設けることになりました。

  • 調剤室
  • 待合
  • 売場
  • 受付会計カウンター
  • 相談カウンター
  • トイレ
  • 更衣室

建物1階の道路側駐車場に面する約60m2弱(18坪弱)のスペースにおける検討がなされました。

はじめに調剤室をどこに配置するかで変わる間取りプランの比較が行われました。

  • 道路から見て、建物の奥側に調剤室を設けて、手前に待合や売場を設ける間取り
  • 道路から見て、右側(もしくは左側)に調剤室を設けて、反対側左側(もしくは右側)に待合や売場を設ける間取り

を作成し、比較検討がされました。

比較して注目された内容は、

  • 調剤受付カウンターまでの判りやすさ
  • 売場の商品の陳列量
  • 店舗が広く見えるかどうか
  • 新しく考えている薬局店舗に対応していけるか

が、比較検討されました。

検討の結果、調剤室を右側、売り場を左側に配置する間取りプランになりました。

調剤室と保健所申請

調剤室のレイアウトは、ことぶきや様ご自身で検討されました。調剤台をはじめとする器具などの配置は、ご自身の作法があり、それに合わせて必要なコンセントや照明、水洗の位置が決定されました。

また、保健所申請も先生のご希望で直接先生が行い、出入り口扉の位置、調剤室内部をうかがえる窓の位置と寸法などについても協議をしてくださいました。

建物正面外観ファサード

建物全体の間取りプランが定まると、薬局店舗の顔となる道路側の外観形状=ファサードの検討が始められました。

ことぶきや薬局様の薬局店舗に対するご希望は、

  • 大磯の地域に馴染む顔であること
  • 薬局の医薬系としての顔を持つこと
  • 新しくとも流行りすたりがないこと

というものでした。そのご希望に沿って外観形状=ファサードが検討されました。

大磯の国道1号線を観察すると、瓦屋根の二階建てが多く、東海道を挟むように建ち並んでいます。合わせて倉造りも多く散見出来ました。

ことぶきや薬局様は、道路側の建物正面になる2階のご自宅部分に窓を設けることを辞めて、店舗のファサードデザインが自由に行えるようにされました。

最終的には、「蔵」を非常にシンプルにした形が選ばれました。

内装インテリア

間取りプランが定まったところから、各部分の具体的な形へと検討は進みました。

商品棚

大型の薬品物販店舗やインターネットによる通信販売に囲われている個人薬局が、他との差別化を図るために目指しているところは、来局される方々の「健康相談所」となることでした。

それは、来局される方々の身体や健康のお悩みを良く聞いて、薬剤師として数ある薬品の中から相応しい薬を選ぶ という当たり前のようで、売り上げを高めることだけに重きを置いている大小の薬局が忘れている初心に立ち返えることでした。

売り上げだけを重視すると、薬品や商品は種類が沢山あった方が来局者の満足を得られると考えて、所狭しとモノを並べてしまう傾向にあります。

今回の建て替えで、患者さんへの説明を濃くしようとする考えの方針から、患者さんが自身の身体を自分で判断して訳も分からずに数ある薬品の中から患者さん自身が選ぶのではなく、薬剤師として患者さんの状況を把握し薬品を選んで推薦する方式にするために、陳列する薬品絞り込んで最小限を陳列することにしました。商品を選ぶ方式ではなく、相談してもらえる薬局の仕組みを目指されました。

薬品や商品を陳列する場所は、壁から棚板が突き出す方式で、シンプルな方式を選ばれました。棚も造作家具として製作するものではなく、棚板を日曜大工センターで購入して切り出してもらい、壁に棚受け用レールを取り付けて、跳ね出し棚受け金物レールに掛けて、棚板を載せるだけです(ビスでは固定されています)。最下部の収納箱は既製品です。コストも大幅に抑えられて、薬局のご方針に見合ったものになれました。

処方箋受付カウンター

調剤薬局の一番の役割は、患者さんが医院診療所から出された処方箋を受け取って薬をお渡しすることです。

処方箋を持って来てくださる患者さんには、以下の考えで、受付カウンター周囲が検討されました。

  • スムーズに処方箋を受け取れること
  • 短時間に薬を渡せること
  • お待たせしてもリラックスできること
  • 薬の説明と金品の授受が確かに出来ること
  • プライベートな内容が他に漏れないようにすること

カウンターは入口からすぐのところから始まります。形はシンプルで、隣りの方の所作が分からないように、不透明の板が立てられました。

患者さんとの受け応えをしている間に、陳列棚にあるモノを説明する必要になるときも多く、カウンターは二分して隙間も設けられるようにし、抜け出せるようにされました。

カウンターの真上には、吊りペンダントを吊るせるライティングレールを設けています。カウンターの状況が変わっても順応可能な方式にしました。

相談カウンター

処方箋受付カウンターとは別に、テーブルを挟んで座り、じっくりとお話しが出来るカウンターを設けました。

受付カウンターは高さ1メートルを超える高さに対して、相談カウンターの高さは70センチです。椅子に座って対面できます。

書類や資料を広げて相談も出来て、処方箋受付カウンターの横に連なっています。

売場の天井と照明

ことぶきや様ご家族は、世の中の仕組みと周囲環境が今後、断続的に変化して自分達も順応していく必要があると強く感じておられました。

そこで売場の壁面棚やカウンターは固定しないで移動調節できる方式にして、天井の照明も同様の方式にされました。

ライティングレールと呼ばれる自在に照明を移動できる配線レールを取り付けることで、レール線上は自由に配置変更できます。

売場は暖かい雰囲気にするために、照明器具は全て電球色の器具が選ばれました。売場自体は北側に向いていて太陽の光は余り望めません。売場が明るいという印象を持っていただくために天井際下の壁面を一様に照らし、それとは別に商品棚を照らすようにされました。

工事金額を抑える工夫

薬局内装の工事金額を抑えるために様々な内容について工夫し、開局するご家族自身が協力して役目を果たされました。

保健所申請

保健所の検査を受けて合格すると開局できます。保健所との事前相談から申請、検査立会いをご自身で行われました。特に調剤室に関わる内容は、ご自身で行うレイアウトに直結するものなので、分かり易かった模様でした。

造作材料の購入

工事金額の明細をよくみると、その費用は大雑把に言うと「材料代+人件費」です。工事費用を抑えるためと、今後内装陳列棚を変化順応させられるようにするために、

  • 家族で購入できる材料にすること
  • 材料の組み立てを家族でできること

として、設計しました。

設置組み立ては工務店さんにお願いしたものもありましたが、今回ご家族で購入したものは、

  • 陳列壁面棚
  • 陳列独立棚
  • 照明器具
  • エアコン
  • トイレ器具

でした。

患者様用駐車場

薬局店舗は東海道国道1号線沿いにあり、JR鉄道大磯駅と二宮駅の中間にあります。来局される方々は付近住民の方が徒歩で来られるか、国道を往来する乗用車でアプローチされます。

既存の薬局建物は歩道に面して駐車場スペースを設けずに、2軒隣の敷地を借りて駐車スペースにしておられました。2軒隣の駐車場では、駐車場の有無が伝わりにくく、駐車場が無いとも思われた可能性も大きく、乗用車でアプローチされる方の駐車スペース確保は絶対であったので、建て替えにあっては、建て替える建物本体を道路から後退させ、乗用車3台が駐車できるスペースを確保しました。

歩道切り下げ

国道1号線は両側に歩道があります。敷地の中の駐車場には、その歩道を横断しなければなりません。敷地に駐車場がない限り歩道と車道の境界には20センチの段差とガードレールがあります。

この段差とガードレールを取り除いて乗用車が入場できる形に作り変えないと、駐車スペースを敷地内に設けても乗用車は止められません。

歩道は道路の一部で、国道1号線なので国の所有地です。国道1号線を管理している国道事務所に赴き、歩道を乗用車が横断できて駐車場に入場できる形に変えて欲しい相談を、はじめにことぶきや様ご自身がされました。しかし、内容が分かり難かったようで、この協議・申請を任されました。

様々に協議を重ねて、最終的にガードレールを少し残す形で、歩道の切り下げ形状で合意し申請を行いました。(敷地内の状況により歩道の形を変えたくとも、歩道の形は自由に変えられずに国道事務所の基準に沿わないとなりません。また、国の基準に従っても工事の費用は国ではなく、変更を求める者が全額負担しなければなりません)

調剤薬局のブランディング

街の「健康相談所」を目指して組み立てた薬局店舗は、外に向かってその存在と内容をアピールしなければ分かっていただけません。健康に不安のある方に届くように、薬局のロゴデザインを刷新し、外への発信を強化されました。

看板サイングラフィック

国道1号線を行き交う車両から、新しくなったことぶきや薬局を感じていただくために、建物の外観ファサードとともに検討されたのが、看板です。

  • 看板の位置
  • 看板に表示する文字
  • 看板に表示する内容

グラフィックデザインの羽原ふみさんを加えて、様々な検討を行い、最終的に、

  • 建物外壁にロゴデザイン
  • 駐車スペース歩道際の自立立看板にロゴデザインと薬局情報

を掲示しました。

上記2カ所については、「変わらないもの」を掲示して、ことぶきや薬局の存在を示すものとしてだけにし、様々な薬品やサービスについては、別の場所に掲示していく方針になられました。

商品表示

薬品や商品、サービスは沢山の種類があり、整理がつかないほどお伝えしたい内容がありました。それは上記2つの看板以外で表示するものとして、

  • ホームページ
  • 出入り口ガラス面
  • 店舗内の表示案内
  • 駐車スペースの旗

などで表示していくことにされました。内容は日々変化するもので、来局される方々のニーズに答えて順応していく前提で、表示する方法も「変えられる」ものに表示することとしたためです。

ホームページ

ことぶきや薬局様にはホームページの発信力の強みを計画当初から説明していました。ことぶきや薬局様ご自身、私たち 北島建築設計事務所をネットを介してお選びいただいたので、早期の立ち上げを勧めていました。インターネットのホームページは、

  • 自分で編集が簡単にできる
  • リアルタイムで変更・削除・加筆ができる
  • 立地条件がない
  • 実店舗がなくても先行して公開ができる
  • お客様になる方はネットで検索する時代になった

 「ことぶきや薬局」様の新しいホームページ

特に大型でない小さな店舗や会社でも、自らが販売する商品やサービスを、ニーズを持たれている方に、ネット検索という方法を介して繋がることができるので、良い商品やサービスを提供していて、立地条件に埋もれてしまうような店舗や会社様には強い発信力となるはずです。

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