歯科医院移転内装工事の開院までの順序

内装工事

森川歯科様は移転工事ということもあり、また工務店様もお知り合いの信頼関係のある方へのご依頼により、設計図がまとまったと同時に、工事を始めていただく形になれました。工事金額は、工事を進めながらお見積もりがされました。

解体工事

歯科医院が開けるかどうかの確かめの現地確認の際は、前の賃貸の方の内装がありましたが、工事が始まる時にはあらかた解体撤去されて、スケルトンの状況でした。

しかし、さらにその前に賃貸していた方が残された、見えない床下の下地などが現れて、これを解体撤去することから工事は始まりました。

墨出し

間取り設計図の壁の位置を、現地床に描くことを「墨出し(すみだし)」と言います。大工さんが「墨壺(すみつぼ)」から送り出された糸をはじくと、糸に含まれた墨が床に付いて黒い線が描かれます。このことから、初めに建物の位置を現地床に描くことを「墨出し」と呼ぶ様になったそうです。

工務店様は墨だけだと分かりづらいので、墨の上に角材を置いてくださって、壁の位置がより分かりやすく見える様にしてくださいました。

診察台ユニットの位置

内装の墨出しが出来た直後、診察台ユニットの位置を定めるために、診察台ユニットを納入される機器メーカー様にお越し頂いて、原寸大の診察台ユニットの図面を床に敷いて、医師先生の立会いのもと、診察台ユニットの位置が定められました。

これは次に始まる、床下配管設備工事の診察台ユニットのための配管位置を定めるためです。

X線室レントゲン機器の位置と必要コンセントの確認

放射線レントゲン機器のあるX線室に関わる電気配線の詳細を、レントゲン機器メーカー担当者様にお越しいただき、電気設備工事の担当者様にお伝えしていただきました。図面でも表示がありますが、機器に対してもっとも便利なコンセント位置や、配管と配線の工事の担当区分についてもお打ち合わせをされました。

壁下地

床下配管や壁内の電気コンセントの位置などが定まった状態で、先行して壁の下地が組み始められました。

壁の下地は、LGSと呼ばれる軽量な鉄製のもののときや、今回のように木の材料が使われるときもあります。

今回の工務店様は木の大工さんだったので、木の下地で組まれることになりました。

床下配管

診察台ユニットの位置が指定された後、床下の給水管や排水管、電気配管が設置されました。この配管が診察室の床下のほとんどに巡らされるために床全体をかさ上げすることが必要になります。

床上げ下地

床下の配管工事が終わると、かさ上げする床の下地=束立てが組み立てられます。金属のネジ状の棒の上下に床を支える板が付いていて、ネジを回転させて床下の高さを調節します。

この上に床板の下地となる板が乗せられます。さらにもう一枚ベニヤ板が貼られて床の仕上げ材料を貼る直前まで出来上がります。

建具枠

壁の下地組が組み立てられて、扉が付く場所に壁の材料に開口を開けるための建具枠が取り付けられます。

下地板材

建具の枠が取り付けられると、壁の板材が貼られます。壁は大きな一枚の壁に見せるように作られるので、一枚一枚の板と板の間や取付ビスの凸凹を石膏をパテ状にした材料で埋めていき、大きな面に仕上げます。

仕上材貼り

壁の凸凹を石膏パテで埋めてパテが乾燥したら、ビニールクロスの壁仕上げが貼られます。

ジーパン地の床仕上げ

医師先生のリクエストで、床仕上げはジーンズの生地を床材に利用したデニムフロア(田島ルーフィング)が貼られました。

  • 待合室はジーンズを床材に加工したもの
  • 診察室は見た目がジーンズに加工したビニール状の床材

が貼られました。

阿波の青石

医師先生のリクエストで、ご出身の徳島県で産出される「阿波の青石」を取り寄せられて玄関床に貼られました。

照明の色

照明器具の色は、壁の白色と床のジーンズ地をはっきり見せるためにも、全体を白色の照明色にしました。

診察室台の間接照明

患者様が診察室の診察台ユニットに座り、診察が始まると仰向けになって天井を見上げる形になります。天井に下向きの照明器具が付いていると患者様は光源の明かりが眩しいので、患者様が見上げる天井は間接照明にして、患者様が眩しい思いをすることなく、診察室の照度を確保するようにしました。

照明・設備器具取付け

内装の壁天井が仕上がると次々に天井や壁の照明器具や換気設備、コンセントなどの器具が取り付けられました。

予め壁天井内部に配線や配管を設けておいて、壁天井の表面材を開けて壁天井内部の線や管と結ばれます。

照明や設備器具は内装仕上げが出来てから位置が定められるわけではなく、壁天井の下地が組まれるときにあらかじめ位置を定めておかれるものです。

エアコン取付け

室内の空気の温度を調節する空調エアコンには、

  • 電源
  • 冷媒管(室外機と繋がった冷温を移す管)
  • 排水管(室内空気の湿気の排水)

が、必要になります。

受付カウンター

玄関出入口の直近にある受付カウンターは、高さを1.12メートルにして、手前に荷物置き台が設けられました。上部にカウンター内から使用する戸棚が付けられて、カウンターの照明が下向きに取り付けられました。

洗口台

待合室に面して洗口・洗面室はありますが、トイレも含めてスタッフと兼用なので、診察室からも出入り出来る構造になっています。

壁面は大きな鏡で、上部に照明が取り付けられました。台には手拭きの紙を捨てられる専用のゴミ穴も設けられています。

診察室の手洗い台

診察室の手洗い台は、医師先生が診察台メーカー様の製品を選んで納入されました。その色に合わせて、周囲の手洗い台や作業台の色も定められました。

手洗い台に関連して、相談コーナーの引き戸の上レールも取り付けられました。

消毒技工コーナー台

消毒作業や技工加工作業のコーナーは、医院の一番奥の部分にあり、一文字の部屋に端から端まで作業台にして、作業の内容に応じて、

  • シンク
  • 壁面収納棚
  • 電源コンセント

などを配置させました。

扉取付け

床壁天井の仕上げ材と手洗い台や作業台が取り付けられると、扉が取り付けられました。

扉は引き戸がほとんどで、窓が付いていても引き戸の反対側が見えないように、窓は小さく曇りガラスになっています。

衛生器具

トイレの便器や、洗面器、手洗い器は、医院の近くにTOTOのショウルームがあり、医師先生と工務店さんと皆で訪れて、実物を見て決められました。

カタログやサンプルで材料を決めることが多いのですが、ショウルームでは実物を見て定めることが出来るので、医師先生にとっては納得安心して器具を定めることが出来たと思います。

診療器具

内装工事と電気や給排水の配管設備が完了したところで、診療器具ユニット台が設置されました。診療器具ユニットの周囲は動線や作業部分もあるので多少余裕のある寸法になっています。

家具搬入

内装工事が完了して、最後に待合室の椅子をはじめとする家具が搬入されました。待合室の家具は医師先生がお気に召して当初から選んでいておられた家具です。

保健所申請

診療所開設届は医師先生ご自身が保健所窓口へ事前協議から参られました。当方からは、医院平面図をお渡しして、申請がなされました。

厚生局申請と開院

厚生局への申請も医師先生ご自身がなされました。内装工事後、無事に診療が開始され、保険診療請求手続きも滞りなく移されて開始され、無事開院されました。

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